相談内容
中学生の時に、歯を抜かずに矯正することを勧められ矯正治療を行いましたが、充分に改善せず、大人になってからとても気になり、もう一度きちんと治療したいと考え、せっかく治療するなら、経験が豊富で納得のいく説明をしてくれる矯正歯科医院を探していた。
治療前の写真
治療前の口もと
- リラックス状態
- 口を閉じた状態
- 歯の状態
前歯が飛び出しています。そのため口が閉じにくくなっています。
当クリニックで作成する治療計画
歯並び、咬み合わせを改善するのは当然として、そのヒト個人にとって良好な前歯の位置を実現させることを目標にしています。いわゆる口もと美人を目指します。これは見た目だけの問題ではなく、口が閉じやすい事で口腔内の乾燥を防ぎ歯周病の予防に繋がると考えられているからです。また、前歯の位置の適正化は後戻りの度合いを小さくする効果も望めます。
そのために、セファログラムや模型、顔面および口腔内写真を総合的に分析し、もっとも合理的に(シンプルで早く)目標に到達できるように計画を立案します。
セファログラムによる分析とは
- 全体像の読像;セファログラム分析で重要なのは、細かい項目を計測して平均値と比較することではなく、個々の全体像を読像することです。多くのクリニックで目にするどこが何度で平均値からどのくらい乖離しているかといった細かい表記(数値がズラッと並んだ表)は、当院では最低限しか行いません。平均値は個人にとってさほど意味を持ちません。例えば上下の顎の前後的位置関係はANB+3°が平均値ですが、3°でも上下出っ歯、出っ歯、反対咬合と様々な咬合異常が見受けられます。また、コンピュータ画面上でさも最先端をアピールするように点をプロットし、0.1°単位(例えばANB+3.2°など)で数値を計測することも全く科学的な意味を持ちません。なぜなら、今日プロットしたAという点を明日も正確にプロットすることが不可能だからです。セファログラムの分析では線を描くことが重要です。点ではなく線で捉えることによって再現性が高まるからです。
- 前歯の位置と口唇周囲軟組織形態;前歯が出っ歯なら、口もとが突出したりアゴなし顔貌になり、口が閉じにくいことにより口を空いている時間が長くなり、口腔内乾燥に繋がります。これを防止するためには前歯の位置の適正化が必須となります。
- 口もとを改善するためのセファログラム分析の一例を下にご紹介します。リラックスした状態と口を意識的に閉じて頂いて撮影するセファログラムの2つを比較することで、口を閉じた際に無理が生じているかどうかを判断できます。その結果、治療後にどこまで改善できるか予測を立てることができます。
- 口を閉じた状態のセファログラム
- リラックスした状態セファログラム
黒のライン:口を閉じた状態
点線のライン:リラックスした状態
青のライン:通常の治療後の予測
緑のライン:矯正用アンカースクリューを使用した治療後の予測
今回は、患者さんとの話し合いで緑のライン(矯正用アンカースクリューを併用)を目指して治療することとなりました。
参考:難症例の場合
さらに予測が困難な症例では、患者さんの歯型を1本1本切り分けて、現在の顎の大きさに並べて治療後が確認できるようにセットアップ模型を作成しています。その結果、今の顎に歯がどのように並ぶか、また歯の位置をどこまで後退させることができるかしっかりとシミュレーションする事ができます。
治療後の写真
治療後の口もと
- リラックス状態
- 口を閉じた状態
- 歯の状態
セットアップ模型でシミュレーションしたとおりに歯が並んでいるのが確認いただけると思います。
治療の詳細
初診時年齢 | 33才11か月 |
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治療期間 | 2011年12月23日~2014年12月29日(3年) |
治療費用 | 847,000円(税別) |